12月10日
子供かってノリで辞表を叩き付け荷物を纏めて仕事を辞めた。
会社から家に帰るバスでの気分は本当に軽くてこれでストレスから解放されるんだと思うと嬉しかった。
家はマンションの5階。バス停を下りて徒歩3秒。バスから降りてルンルン気分でエレベータのボタンを押した。
5階に着くとそこはいつもの風景ではなくボロボロの木造アパートの内廊下にたどり着いた。
各部屋の扉は全部半開きで大音量のテレビやラジオの音が聞こえて来た。独特の据えた臭い。
ちょっと意味がわからない。私は自宅に帰って来たはずなのになんでここに?
戻ろうと振り返ったらエレベーターは消えてた。
廊下の突き当たりに外階段に出られそうな扉があったので外に出ようとしたら
そこに階段はなくつっぱり棒で作られた様な危うい梯子があるだけだった。
ここから出るにはこれを使うしか道がない。
全身全霊で集中をしてその梯子で下まで下りる事が出来た。
下りて見上げてみるといつものマンション。
でもまたエレベーターにのったらあの空間に行っちゃうのかと思うと怖くて中に入れない。